ベル・ビヴ・備忘録

某日。さる対談(人数的に座談会?もしくは合同インタビュー?)で先輩ミュージシャンとお話をする機会を得る。思えば対談は初めてのこと。何を話したら良いものかと考えていたものの、始まってしまえばまさにおんぶに抱っこ状態で、たくさんお話していただいてこちらはひたすら恐縮するばかりだった。

自分が読んでおもしろいと感じる対談やインタビューの記事とはどういうものだろうと改めて考えてみると、何の遠慮もなしに、いかにもそれが自然な振る舞いであるかのように固有名詞がひたすら飛び交う具体的な語らいであるとの結論に落ち着いた。抽象的でモヤっとした精神論や、時事問題に対するボンヤリとした意見、爆笑おとぼけエピソード等はそれはそれで味があるのかもしれないが、そういったものよりも個人的な嗜好としては具体的な技術論を読んでいるほうが断然おもしろい。例えその内容が全く理解できなくとも。さらに言えば一般的でない固有名詞に関しても全く説明がなされないまま先に進んでいってしまうものがより好ましい。

このような気質は、小学校の高学年ぐらいで日テレのテロップを親切だと思うか余計なお世話だと思うかというところではっきりしてくることだといえようが、今そんなことはどうでもよろしい。どうでも良いことついでに言うと、歌番組の歌詞テロップはなくて良いと思う。カラオケに来て他人の歌を聴いているような気分になるから、というしょうもない理由ばかりでなく、文字が出ているとどうしても目で追ってしまい音楽を聴いている気にならないからという理由もあるが、こんないかにも亜インテリでござい!みたいなことを言っても得することなど何もないからこれ以上言うのは止そうと思う。したがって歌詞カードについては何も言うまい。

一応の役割として音楽担当(嵐でいうところのラップ担当)ということになっているので、取材などでも「音楽的な話題」を振られることが多い(取材自体はほぼなし)。そもそもの話、例え色々な事情があろうと、我々が従事しているのは他でもない「音楽そのもの」なのだから、殊更「音楽的」などと強調する必要があるのかという疑問もあることにはあるのだが、そういうことになっているのだから今更ごちゃごちゃ言ったところでどうにもならない。

むしろ、細野晴臣の「Endless Talking」、レココレ誌上での大瀧詠一のインタビュー、ポール・ゾロによる複数のソングライターへのインタビュー(この面子を見よ!—ヴァン・ダイク・パークス、キャロル・キング、ジャクソン・ブラウン、スザンヌ・ヴェガ、トッド・ラングレン、ニール・ヤング、バート・バカラック&ハル・デイヴィッド、ハリー・ニルソン、ピート・シーガー、ウィリー・ディクソン、ボブ・ディラン、ブライアン・ウィルソン、フランク・ザッパ、ポール・サイモン、マドンナ、ヨーコ・オノ、ランディ・ニューマン、レナード・コーエン、ローラ・ニーロ、ロビー・ロバートソン)をまとめた「INSPIRATION」などを読んで、音楽に従事する者の受け答え斯くあるべしと考えてしまうこちらの認識がズレているのだろう。

とにかく忘れっぽく咄嗟に固有名詞が出てこないので、終わってから「この名前を出すんだったらこっちも出すべきだった!」といつも後悔してしまう。加えてその場の空気次第では口から出た固有名詞が寒々しく響くこともあり(テレホンショッキングに出演した際にタモリに向かって機械の配線に凝っていると話してBREEZEが心の中を通り抜けるような感触を我々にもたらした欧州サッカーにも造詣が深いことでお馴染みのあの女優のように)、それに耐えて固有名詞を唱え続けるほど強い心臓を持ち合わせていないために、毒にも薬にもならないことを言ってお茶を濁し、後になって歯がゆい思いをすることもある。それを情けないと感じつつも同時にそのような場で堂々と振る舞うところが全く想像できないし、むしろそういう立ち振る舞いに対してどうしてもミクスドフィーリングを抱いてしまう(「6年目の決意と覚悟」みたいな見出しは重すぎて持ち上げられる気がしない)。

誰かに対して意見を主張するときの作法のようなものが根本的なところで身についていないような気もする。こんなことを言っていては一生出世できないだろうが、そういうものなのだからどうすることもできないと諦める以外になす術もなし。うだつが上がらないとはまさにこういうことをいうのだろう。サングラスをかけることに一瞬でも逡巡するようでは出世できないというのがもっぱらの定説だ。このような人間はやはり折にふれて冷蔵庫のドアを開いてボトルの水飲んで誓いをたてていくよりほかない。

今回の対談では有り難いことに素敵な固有名詞を投げかけていただいたのできちんとキャッチして投げ返すことができた。とにかく音楽の話ができて良かった。

その後、串カツ田中に移動して飲み。楽しさに任せて飲んでいたら急に気持ち悪くなり、そろそろお開きという段になって血の気がひいて冷や汗タラタラ喉元コポコポ足元フラフラ状態に。夕方に食べたつけ麺大盛りに消化不良を起こしたか。

終電間際だったが新宿のTSUTAYAにDVDを返しにいかなくてはならず、さらに車内で気持ちの悪さのピークを迎えたことから仕方なく手前の代々木で降りて、胃袋と喉元をコポコポ言わせながらTSUTAYAまで辿り着きDVDを返却した後、小一時間歩いてなんとか帰宅。薄着で出かけてしまったせいでとにかく寒くとても辛かった。翌日は案の定二日酔いで一日の大半を憂鬱な気持ちで過ごした。

某日。オーストラリアのバンド、My Discoとライブでご一緒する。リミエキ、Phewさんと共に。My Discoの音はとても大きいのだけれども、分離が良いというか、すっきりとした音になっており思わず感服。だいたいライブハウスで大きい音を出そうとすると全体で聴いた時に拡声器の音みたいになりがちなのだがそういう音ではなかった。

昔アリトさんが「フガジの中音はスカスカらしい」と言っていたのを思い出した。確認していないので下手なことを言っても恥をかくだけだがMy Discoの中音も爆音というわけでもなさそうだ。加えて音のすみ分けを考慮したアレンジの妙もきっとあることだろう。

バンドというものは普段我々が考えているよりも小さい音で演奏しても良いものであるようにここ最近感じている。なぜならライブハウスにはスピーカーが設置されているから。こめかみ辺りを蛍光色のなわとびで叩かれているような音は正直辛いだけだ。叩いているほうはさぞ愉快だろうが…本当は鼻の奥がスッキリするような音だけを聴いて暮らしていたい。これは音量だけの問題ではない。

それにしてもMy discoのあの殺伐さは何だろう。あれほどまでに荒涼とした音楽は聴いたことがない。それでいてどこか茶目っ気もあった。調べてみるとメルボルンの湿度は低いとのこと。

以下、次回のライブです。

4月3日(日)渋谷TSUTAYA O-nest
nest20周年記念公演「トリプルファイヤー×ベルハー」
開場 18:00 / 開演 18:30
前売 2500円 / 当日 3000円
出演 BELLRING少女ハート / トリプルファイヤー
ぴあ(P:292-515)・ローソン(L:74201)・e+

 

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