陰翳礼讃

10年程愛用しているコンポがCDを読み込まくなった。レンズクリーナーを買ってきて試してみたものの認識すらしない。グーグルで機種名に故障という単語を加えて検索すると、修理の方法について書かれた記事が数件ヒットした。その記事を参考にしながら分解し、中身を掃除して再び組み立てると今度はレンズクリーナーをきちんと認識し音声が流れ始めた。嬉しくなって近くにあったCDを挿入してみると「NO DISC」との表示。レンズクリーナーしか再生しないコンポの存在意義とは。

先日、久々に中野ブロードウェイに行った際にFUJIYA AVICを覗いてみると中古のCDレシーバーが手頃な値段で売られていた。1日悩んで購入を決意。家に帰って早速設置し、ひとまずベタにスティーリー・ダンの「エイジャ」を再生してみる。気合が入った音でなかなかによろしい、と思ったがボリュームが大きめに設定されていただけであった。特に文句はないが、ひとつだけ頂けないのはスイッチを入れるとボリュームノブの上部が青白く光るところだ。昨今は電子機器というと何にでも青色LEDがついてきてかなわない。Amazonで買ったUSBケーブルは認識されるとヘッド部分が青白く光るが、これが邪魔くさくてしょうがない。日本にいる限り国道沿いのセンスから逃れることはできないのだろうか。

最近はすっかりと春めいてきてイルミネーションが撤去されて久しいが、ここ数年冬場になると青白いイルミネーションがよく散見された。新宿駅東口の広場などは植えられている木に青と白の寒々しい電飾が括りつけられていたが、あれを見ると気が滅入るのでよしてほしい。思うにあれは人除けではないか。何となく顕微鏡で見たときの病原菌を想像してしまう。

某私鉄の駅には「結婚したくなるイルミ」などという正気の沙汰とは思えないポスターが貼られていた。ああいうのは誰が取り仕切っているのかわからないがよっぽど美意識に欠ける人物が考えてやっているのだろう。一度でいいから谷崎潤一郎の「陰翳礼賛」を読んでみてほしい。近世以前の日本人は暗がりに美を見出してきた。「陰翳礼讃」にはきっとそういうことが詳しく書いてあるのだろう。きっとそうに違いない。

 

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